クロアチアの「Tajči(タイチ)」の「Hajde da ludujemo」(Let's go crazy) - スラブの歌と言語(71)

スラブ語圏の歌を聞きながら、歌のタイトルを翻訳して、

言葉がどれだけ似ているのか比較してみたい。


今回の歌はクロアチアの「Tajči(タイチ)」の「Hajde da ludujemo」(Let's go crazy)

「Tajči(タイチ)」は1990年19歳の時にこの歌でスーパースターになりましたが、カトリックの信仰に目覚め、現在はアメリカに住み各地の教会で歌うようになっているそうです。


歌詞の中に次のような内容があります。(意訳)

私をゲットするには

リッチでハンサムでなくていい

筋骨隆々でストロングでなくていい

2つの言葉で十分

この「2つの言葉」が何に当たるのか見つけられなかった。

歌がヒットした翌年の1991年にクロアチア紛争が始まる。

「Tajči(タイチ)」はやがてアメリカに渡ってアメリカンドリームを夢見たそうです。

そして各地のカトリック教会で歌うようになり、現在「Waking Up In America」という活動をしていて、そのビデオで語っている趣旨は

「awakening/waking up」(目覚め)

19歳でスーパースターになったときも、アメリカンドリームを夢見たときも、

「自分を見失っていた(I am lost)」

そこで「awakening/waking up」(目覚め)が大切だと思うようになったそうです。

(YouTube:Waking Up In America-Tajci Cameron)

歌のフレーズ「2つの言葉」には作詞家「Alka Vuica」の意図した言葉があると思いますが、歌手の「Tajči(タイチ)」にとっては、様々な経験の後に「Waking Up」が心の言葉になったかもしれません。

[サビの意訳]
歌詞&意訳 コメント
Hajde da ludujemo ove noci
Come on, Let's go crazy tonight
今夜は羽目を外して
hajde : come on/let's go
ludovati : behave foolishly
Hajde zaljubi se u moje oci
Come on, fall in love with my eyes
私の瞳に恋して
Tvoje su usne kao cokolada
Your lips are like chocolate
あなたの唇はチョコレートのよう
usna : lip
To mi se dopada
I like that
それが好き
dopadati : to please/like

「awakening/waking up」(目覚め)といえば仏教のブッダも「目覚めた人」という意味ですから、この言葉だけで言えば同じ。

サビの歌詞にある「ludujemo」を (羽目を外し)と意訳しましたが、「behave foolishly」という意味で「愚かに振る舞う」にもなり、仏教的に「愚かならば愚かなりに自分らしくそのままに」と解釈すれば、

歌のタイトル「Hajde da ludujemo」も

「Come on, Let's 愚かならば愚かなりに自分らしくそのままに」で

ある意味「awakening/waking up」(目覚め)???

Hajde da ludujemo

歌手 Tajči(タイチ)
発売 1990年


歌詞翻訳サイト LrycsTranslate

単語(各スラブ語に翻訳)

「eye」と「lip」

言語 文字 eye lip
ロシア語 キリル глаз/(古)око губа
発音 glaz/(古)óko gubá
ウクライナ語 キリル око губа
発音 óko hubá
西 ポーランド語 ラテン oko warga
チェコ語 ラテン oko ret
スロバキア語 ラテン oko pera
セルビア語 キリル о̏ко у̏сна
発音 ȍko ȕsna
クロアチア語 ラテン ȍko ȕsna
スロベニア語 ラテン oko ustnica
スラブ祖語 oko

(Wiktionary:eye/Proto-Slavic-oko/lip)

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