ボリウッド映画ソング「私はあなたを見た/Maine Tujhko Dekha」- インド文化圏の音楽(29)

ボリウッド映画「Golmaal Again」の歌「Maine Tujhko Dekha」

タイトルの意味は

私はあなたを見た(I saw you)

Maine Tujhko Dekha

मैंने तुझको देखा

映画の内容は超常現象コメディ(supernatural comedy film)でタイトルも「Golmaal」なので、マイケルジャクソンのスリラーをオマージュした「Golimaar」と関係あるのかと思った。

GolimaarThriller
映画:Donga (テルグ語映画)歌手:Michael Jackson
公開:1985年発売:1983年

映画は人気シリーズ「Golmaal (film series)」の第4弾です。ジャンルはスクリューボール・コメディらしい。

常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちるというストーリー
(Wikipedia:スクリューボール・コメディ)

シリーズのタイトル「Golmaal」は主人公たちの名前の頭文字をつなげたもので、インド版スリラーの「Golimaar(意味:Shoot the Bullet)」と関係はなさそうです。

名前頭文字
GopalGo
Luckyl
Madhavma
Laxmanl

シリーズが4作を超えたのはインドで5番目、シリーズ映画の歴代興行収入ランキングでは6位(2018年12月7日)のようです。

(参考:Highest-grossing franchises and film series)

Maine Tujhko Dekha

歌手 Neeraj Shridhar and Sukriti Kakar
映画 Golmaal Again
公開 2017年9月28日(MV)
歌詞翻訳サイト LyricsRaag.com
歌詞(デーヴァナーガリー) hinditracks

昨日のイタリアの歌でも「私はあなた見た/ti ho vista」が出てきました。("インスタ惚れ"、イタリアの「Amore a prima insta」)

君を見たとき、"follow(フォロー)"を押した
Da quando ti ho vista ho messo "segui"

一昨日のクロアチアの歌では「見る/vide(ti)」から「I saw(私は見た)」のGoogle翻訳について調べてみました。("信じる力"クロアチアの「Kao ti i ja」)

だけど、愛を見ない
Ali ljubav ne vide

イタリア語の「vista」、クロアチア語の「videti」は、英語の「Video」と語源が同じで、なおかつヒンズー教の経典「リグ・ヴェーダ(知恵の歌)」の「ヴェーダ」も同様らしい。

興味深いのが、

・ラテン系、スラブ系は「見る/to see」の感覚系

・インド(ヒンズー教)、ゲルマン系は「知る/to know」の思考系

それぞれのイメージ

・ラテンとスラブは感情優先

・インドとゲルマンは論理優先

に偶然にも?重なるので面白い!!

イタリア語の「vista」の場合

言語祖語 (→)ラテン語 (→)イタリア語
単語*weyd-videō(vidēre)vista(vedere)
意味to seeI see(to see)saw(to see)

クロアチア語の「videti」の場合

言語祖語 (→)スラブ祖語 (→)クロアチア語
単語*weyd-*vidětivideti
意味to seeto seeto see

英語の「video」はラテン語経由

言語祖語 (→)ラテン語 (→)英語
単語*weyd-videō(vidēre)video
意味to seeI see(to see)テレビ、映画、ビデオ

「リグ・ヴェーダ(知恵の歌)」の「ヴェーダ」の場合

「to know/knowledge」の知恵系

言語祖語 (→)サンスクリット語(名詞)サンスクリット語(動詞)
単語*weyd-वेद • (véda)वेत्ति • (vétti)
意味to seeknowledgeto know (how to )

ヴェーダと同じように「to konw/knowledge」系で派生したのがゲルマン語族のようです。

ドイツ語の「wissen/Wissen」の場合

言語祖語 (→)ゲルマン祖語 (→)ドイツ語
単語*weyd-*wītanąwissen/Wissen
意味to seeto see, knowto know/knowledge

英語の「wit」の場合

言語祖語 (→)ゲルマン祖語 (→)英語
単語*weyd-*witjąwit
意味to seeknowledge/witto know/humour

(動詞「wit」は古風)


参考(Wiktionary)