磯七の信心歌

 -1850(80余歳)
 島根県邑智郡邑南町(旧瑞穂町)田ノ迫集落
この田野迫の磯七は
ことし八十になりまする
どうでもこうでも近々に
命は終わるが磯七よ
無始よりこのかたつくりたる
悪業煩悩にひかされて
八万地獄のどんぞこへ
こけおちまするこの者を
阿弥陀如来と申しまする
お慈悲の深いみ仏が
お手をあげてのおよび声
こりゃ、磯七の大罪人
罪は深くとも悔やむなよ
障りはあっても嘆くなよ
その身、そのまま、そのなりで
助けてやるぞ、救うぞと
ごねんごろなる および声
そのお言葉に従えば
かかる機までもおたすけとは
やれやれうれしや南無阿弥陀仏
鬼のせめ苦に あう身をば
花の台へひきとりて
弥陀にかわらぬ覚とは
あらうれしやうれしや
南無阿弥陀仏

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