イタリアの歌「Occidentali's Karma」(西洋人のカルマ)のつづき。
歌詞の「ニルヴァーナのレッスン」について
Lezioni di nirvana
The Nirvana lessons |
「Francesco」と歌詞を共同で作成した「Fabio Ilacqua」のコメントを意訳してみると、
東洋思想に安らぎを求める西洋人は、バカンスに行ってストレスから解放されリラックスするための流行ファッションのように考えている。 でもストレスの解消・リラックスは、東洋思想にとってほんの一部にしかすぎない。 |
(参考:ITALY: WHAT’S THE MEANING OF FRANCESCO GABBANI’S SONG “OCCIDENTALI’S KARMA”?(wiwibloggs))
そこで「ニルヴァーナ」を「リラックス」というニュアンスで使っている歌を聞いてみました。
歌手はクロアチアのイェレナ・ロズガで、タイトルは「Nirvana」
タイトル | 意味 | 歌手 | 国・地域 |
---|---|---|---|
Nirvana | ニルヴァーナ | Jelena Rozga | クロアチア |
歌詞から
ニルヴァーナ... Nirvana... リラックスして、1人であなたを待っている...今夜 ニルヴァーナ... 同じ場所、同じ愚か者..あなたが来たとき |
Nirvana
歌手 | Jelena Rozga (イェレナ・ロズガ) |
公開 | 2013年3月26日 |
歌詞翻訳サイト | LyricsTranslate |
「ニルヴァーナ」から「サンサーラ(輪廻)」について
「ニルヴァーナ」はインド思想(ヒンズー教・仏教・ジャイナ教・シク教)で使われる単語で、解釈は教派・宗派・組織・個人で千差万別ではないかと思いますが、その中でも「サンサーラ(輪廻)から解脱した状態」という意味は有名かと思われます。
そこで「再生・輪廻思想」の簡単な変遷について主に「仏教誕生」(宮本啓一著)を元にまとめてみました。
文献等 | 再生・輪廻思想の特徴 | |
---|---|---|
最初は、みんな平等で幸福 | ||
初期ヴェーダ | みんな平等で幸福 | 最初の人類は「ヤマ」と「ヤミー」の兄妹 |
最初の死者が「ヤマ」で冥府の王となる | ||
「ヤマ」はやさしい王 | ||
後の思想で「ヤマ」は「閻魔」になる | ||
バラモン(神官)時代になると、闇の国が作られた | ||
バラモン | 冥府を光の国と闇の国に分ける | 呪詛・祭祀の報酬が行き先に影響 |
次に、「闇」以上に過酷な「地獄」が現れる | ||
ジャイミニーヤ・ブラーフマナ | 地獄が出現 | ブリグの地獄遍歴。祭祀をおろそかにすると報いを受けるなど。 |
そして、「祭祀の意義を知っているかどうか」が再生の決め手になる | ||
チャーンドギヤ・ウパニシャッド | 五火二道説の登場 | 祭祀=再生の思想を構築。祭祀の意義を知っているか否かが、再生の境涯(バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・チャンダーラなど)を決める。 |
やがて、「自分は何者か」という哲学が問われ始めた | ||
カウシータキ・ウパニシャッド | 「神々の道」と「雨」 | 月が死者に「なんじは何者ぞ」と尋問し、答えると「神々の道」へ、答えないと「雨」になる。 |
「神々の道」は、アグニ(火神)→ヴァーユ(風神)→ヴァルナ(水神)→アーディッティヤ(太陽神)→インドラ(帝釈天)→プラジャーパティ(造物主)→ブラフマー(梵天)
ブラフマー(梵天)の世界には「アミタウジャズ(無量光にあふれた)」という寝床がある |
そして日本人に馴染みのある六道輪廻も出来上がるという流れがあるようです。
時代と共に膨らんだ思想は置いておいて、ストレス解消のために「ニルヴァーナ(リラックス)のレッスン」をするという流れは案外、進化の知恵のような気もしないでもないですね。
(参考-Wikipedia:カルマ(業)/サンサーラ(輪廻)/ニルヴァーナ(涅槃))
歌は以前「【祈りのダンス】インド「Garba」と沖縄「エイサー」」でも聞いたボリウッド映画ソング「Nagada Sang Dhol」
タイトル | 歌手 | ジャンル |
---|---|---|
Nagada Sang Dhol | Shreya Ghoshal & Osman Mir | ボリウッド映画ソング |
記事から
このMVのダンスはグジャラート州に起源のある「Garba」ダンスだそうです。 「Garba」の語源はサンスクリット語で「子宮」の意味。 伝統的な「Garba」ダンスは胎児を表す"Garbha Deep"と呼ばれるランタンを中心に、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーを讃えながら回って踊り、回って踊るのは「生死輪廻」を、中心のランタンが「新たな生命」を表現しているそうです。 (Wikipedia:Garba dance ) |
タイトルにもなっているサビから
Nagadaドラムとdholドラムが鳴っている、dholドラムが鳴っている
Nagada sang dhol baaje, dhol baaje (ドラムの音のオノマトペ) Dhaayn dhaayn dhum dhum dhaayn |
単語の意味
単語 | 意味 | 参考 |
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Nagada/नगाड़ा | アラブ由来の小さなドラム | (naker) |
dhol/ढोल | パンジャブのドラムの一種 | (ढोल) |
sang/संग | 出会い、組織 | (संग) |
baaje/बाजे | 楽器、オーケストラ | (बाजे) |
bajānā/बजाना | (楽器を)弾く | (बजाना) |
※「baaje」: 翻訳サイトでは「beat」(鳴る)
「sang/組織」の語源はサンスクリット語の「サンガ/सङ्ग (saṅga)」になっていますが、
「仏教誕生」(宮本啓一著)によりますと、仏教が誕生した時代も「サンガ」は組織という意味で、同業者組合や共和制国家も自らを「サンガ」と呼び、仏教もこれに倣ったようです。
Nagada Sang Dhol
歌手 | Shreya Ghoshal & Osman Mir |
映画 | Goliyon Ki Rasleela Ram-leela |
公開 | 2013年11月15日(映画) |
歌詞翻訳サイト | BollyMeaning |
FilmyQuotes | |
ヒンディー文字 | Hindi Lyrics 4 U |
歌(Wikipedia) | Nagada Sang Dhol |
各ロマンス語の「リラクゼーション」
イタリア語 | rilassamento |
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スペイン語 | relajación/relax |
ポルトガル語 | relaxamento |
意味 | relaxation |
(参考)
Wiktionary:relaxation-Translations
Wikipedia:スペイン語/ポルトガル語/イタリア語の文法
Occidentali's Karma
歌手 | Francesco Gabbani |
公開 | 2017年2月9日 |
歌詞翻訳サイト | LyricsTranslate |