「天上世界」へ届け!「喉歌」- インド文化圏の音楽(17)

今回はパキスタンの「Naseebaya」

「のどを鳴らしながら歌う」歌唱法で「Nar(Nur) Sur」というらしい。

("Nar"はフルート、"Sur"はトーン又はメロディー)

パキスタンということでインド文化圏と思っていたら、中央アジアへ飛んでいきました!!

Naseebaya

歌手 Mangal, Darehan & Shayan
番組 Coke Studio Explorer 2018 (HP)
公開 2018年7月7日

歌詞翻訳サイト LyricsRaag

音楽番組「Coke Studio Explore」がパキスタン各地の音楽を発掘して回っていて、「Nar(Nur) Sur」という歌唱法は、バローチスターンのスレイマン山脈の「Dera Bugti」に住む人たちに伝わってきたようです。

バルーチスターン(桃色) バローチスターン州
Major ethnic groups of Pakistan in 1980 Balochistan in Pakistan (claims hatched)
(主民族)
桃:バローチ人
緑:パシュトゥーン人
茶:パンジャーブ人
黄:シンド人
By U.S. Central Intelligence Agency [Public domain], via Wikimedia Commons By TUBS [GFDL or CC BY-SA 3.0 ], from Wikimedia Commons

この歌唱法は「喉歌(Throat-singing, Overtone singing)」の一種で、モンゴル人、チュルク人、アルタイ人などアルタイ山脈周辺の民族に伝わるそうです。

なぜか遠く離れたパキスタンのバルーチスタンにも喉歌がありました。

(アルタイ山脈の場所)

次の「喉歌」は「カザフの土地を守れ」という内容の歴史英雄叙事詩。
正しい読み方がわかりませんが、カザフスタンのバンド「Hassak」(はっさく?)の歌「Аманат」(あまなつ?)

Аманат

歌手 Hassak
公開 2016年3月16日

歌詞翻訳サイト LyricsTranslate

歌詞から意訳(英訳はGoogle)

「テングリ」に永遠を祈願する

Тәңірден тілейміз мәңгі

We wish you Tengri  forever

テングリ」は、中央アジアの遊牧民モンゴル族やチュルク族の間で古代から信仰されているシャーマニズムの「天上世界」や「天上神」のことのようです。

「喉歌」も「テングリ」もモンゴル族やチュルク族の習俗文化ですが、古(いにしえ)のモンゴル族やチュルク族が、どうすれば「天上世界」に届くように歌えるのか試行錯誤した結果、その答えが「喉歌」だったのだろうか?

(参考)
Nar Sur - a little known music genre from east Baluchistan (Sound and vision blog)
Coke Studio Explorer introduces the art of 'Nar Sur' in third episode (THE NEWS INTERNATIONAL)
'Coke Studio' releases third song 'Naseebaya' (The Express Tribune)