インドと日本の長い付き合い?! - インド文化圏の音楽(18)

テルグ映画「Devadas」のサントラ「Vaaru Veeru」

テルグ映画界の「キング」俳優「Akkineni Nagarjuna(ナーガールジュナ・アッキネーニ)」の誕生日が8月29日ということで、(MVの0:20頃)

Happy Birthday
King
Nagarjuna

映画「Devadas」と同じタイトルで1917年に出版されたベンガル語のロマンス小説「Devdas」は、インド各地で人気が高く、現在まで18回も映画またはTVドラマ化されているようです。

小説の内容は、同じバラモン・カーストでもジャーティ(生まれの階層)の違いで恋愛結婚が出来ない悲恋物語のようで、1920年代から現在まで、何度も映像化されるということは、ジャーティのしきたりが根強いということでしょうか。

映画「Devadas」がこの小説をもとにしているかは、分かりませんでした。

Vaaru Veeru

歌手 Anurag Kulakarni, Anjana Sowmya
映画 Devadas
公開 2018年8月30日

「Nagarjuna(ナーガールジュナ)」と同じ名前の人が、日本へも影響があったようです。

2~3世紀頃、南インドで仏教の空思想を説いた人に「ナーガールジュナ」がいて、彼は日本の仏教界では八宗(大乗仏教)の祖師と仰がれているようです。「ナーガ」は蛇(コブラ)のことで、漢訳は「龍樹」。

「ナーガールジュナ」の詩歌(頌)と言われる「中論」の「帰敬頌」から

滅することなく(不滅)・生じることなく(不生)、
断ぜられることなく(不断)・常住であることなく(不常)、
同一であることなく(不一)・異なるものであることなく(不異)、
戯論の寂滅した、寂静の縁起を説かれた仏に、
諸々の説法者のうちでも最も勝れた人として、
私は敬礼したてまつる。

引用:インド仏教の歴史「覚り」と「空」(竹村牧男著,講談社学術文庫)

「輪廻(苦しみ)から解脱した寂静(ニルヴァーナ/安らぎ)」は「戯論の寂滅した、寂静の縁起」ということ?!

その「戯論の寂滅」について、原始仏教の経典「スッタニパータ」の「第四 八つの詩句の章」を見てみると、

(真の)バラモンは、他人に導かれるということがない。
また諸々のことがらについて断定をして固執することもない。
それ故に、諸々の論争をを超越している。

引用:ブッダのことば スッタニパータ(中村元訳,岩波文庫)

偏見断定に固執せず論争を超越していることが「戯論の寂滅」だろうか?!

ちなみにインドでは錬金術師の「ナーガールジュナ」が有名なようです。

息子にも「ナーガ」!!

映画俳優「ナーガールジュナ」ですが、息子「ナーガ・チャイタニヤ」も人気俳優で、その婚約者も人気女優「サマンサ」です。

(関連記事:ナーガと川と「インド&インドネシア」POP)

「ナーガ(蛇神)」への信仰が厚いインドなので、地名にもなっていて、インド中西部マハーラーシュトラ州の都市「ナーグプル(Nagpur)」は「ナーガの都市(プル)」を意味し、アンベードカルが仏教改宗運動を起こしたため比較的仏教徒の多い街らしい。

また日本を絡めると、「注連縄」の由来が「蛇」という説もあるようです。

注連縄の原点は『蛇』 | 和の素敵

古代から世界各地で再生力の象徴として信仰されていた「蛇」ですが、2匹の蛇が交尾した形が「注連縄」に似ているそうです。

さらに「ナーガ」という言葉に注目すると、「ながい(長い)」、「なわ(縄)」となんとなく似ています。蛇(ナーガ)も縄も「長い」です。

「ナーガ」は「雄(おす)」の場合で、「雌(めす)」の場合は「ナーギ」と呼びます。

那岐山など日本各地に「那岐・奈義・奈岐・名義」などの地名があると思いますが、果たして関連はあるのか?

長い間

歌手 Kiroro
発売 1998年