コロンビア「Esta Noche(今夜)」とドイツ「Warum …(なぜ…)」- ロマンス語の歌と言語(194) & ゲルマンの歌と言葉(26)

2人の熱い一夜を歌ったデュエットソングを2曲!!

コロンビアは「Esta Noche(今夜)」、ドイツは「Warum hast du nicht nein gesagt(なんでNoと言わなかった)」

(コロンビア)

君の唇にもう少し近づかせて
Déjame acércame a tus labios un poco

今夜は吐息と共に過ぎる
Esta noche se me pasará con un suspiro

(ドイツ)

君の唇がそれ以上を求めさせる
deine Lippen machen süchtig nach mehr

私たちは情熱的に燃えた
Wir brannten so voll Leidenschaft

キスから始まる熱い一夜

以前にカトリック社会とサッカーのマリーシアの関係を考えましたが、コロンビアの歌詞から、もしかしてマリーシアとはこういうことを言うのかと思ったフレーズがありました。

君の心の中に、いとも簡単に
en tu corazón bien fácil

僕が消えてゆく
Yo pueda perderme

そして神様に祈る、どうか見つけないでください
Y le ruego a Dios que por favor nunca me encuentren

婚前交渉が許されない敬虔なカトリック社会を前提として、「君の心の中に、いとも簡単に僕が消えてゆく」が性行為を意味していると仮定したら、「神様、見つけないで」という考え方が、もしかしてマリーシアなのかと思ったりした。

つまりルール(神の意志)には反しているけど、審判(神様)には見逃してもらう、または審判(神様)に見つからないプレーをサッカーではマリーシアと呼んでいると思いますが、この歌詞にも似た印象を受けます。

一方のドイツの歌詞ですが、

「反省力」に驚きます。

君はすべきでなかった
Du solltest nicht

私はすべきでなかった
ich sollte nicht

「すべきでなかった」がなんと10回も出てきました。「反省」は「なぜ/Warum」から始まりますので、「論理的思考」が必要になります。この歌詞はコロンビアの歌「Esta Noche」に比べて情事色が強いですが、合理的と言われるドイツ人の特徴が現れていて面白い。

しかもシュラガーソングの大御所の2人のデュエットで、視聴回数ももうすぐ億を超えそうな程人気です(シュラガーソングとしての視聴回数では群を抜いていると思う)。「反省」的な歌詞もドイツ人に受けているのだろうか?

ドイツ人の反省力の凄さは、ルターで言えばカトリックへの「反省」からのプロテスタント、つまりマリーシアに対する「反省」から聖書主義への変更や、科学の進歩に伴い神様物語への「反省」からのニーチェの"神は死んだ"説や、資本主義に対する「反省」からのマルクスの共産主義などが思い浮かびます。

私はすべきでなかった、君はすべきでなかった
Ich sollte nicht, du solltest nicht

そしてまだ私たち2人は密かにここに居る
Und doch liegen wir beide heimlich hier

Esta Noche

歌手 Mike Bahía & Greeicy
公開 2018年11月29日
歌詞翻訳サイト LyricsTranslate

Warum hast du nicht nein gesagt

歌手 Roland Kaiser & Maite Kelly
公開 2014年9月17日
歌詞翻訳サイト LyricsTranslate

「イタリア、クロアチア、ドイツ、スペイン語の歌詞の特色の違い」の関連記事

「マリーシア」の関連記事