「あした」は「あさ」のことだった - 日本の歌と言葉(1)

現代で「あした」は「tomorrow」のことですが、昔は「morning」だったようです。

万葉集から

朝(あした)咲き 夕(ゆふべ)は消ぬる 月草の

消ぬべき恋も われはするかも

[原文]
朝開 夕者消流 鴨頭草(乃) 可消戀毛 吾者為鴨

参考:万葉集/第十巻 - Wikisource

月草:(朝に花が咲き昼にしぼむ)ツユクサ - Wikipedia

消ぬべき:(消えてしまうだろう)【古典文法】推量の助動詞「べし」 | 合格サプリ

当時は昼が人間の時間で、夜が神の時間のように考えられていたそうで、「アシタ」は夜から朝になる頃合いのようです。下表のようにしてみると、後に「アシタ」が「tomorrow」の意味に変るのもわかるような気がする。

昼:人間の時間 夜:神の時間
アサ ユウベ
ヒル ヨヒ
ユフ ヨナカ
アカトキ
アシタ

最近面白いなと思ったのが、ドイツ語(オランダ語)の「morgen」

名詞「Morgen」は「morning」で、副詞「morgen」は「tomorrow」

昔の「あした」は「morning」で、今の「あした」は「tomorrow」

「あさ」と「あした」の捉え方が似ていて興味深く思えた。

ちなみにスペイン語の「mañana」も「morning & tomorrow」です。

(参考:ドイツ語Morgen/morgen,オランダ語morgen,スペイン語mañana)


「あさ」

万葉集で「あした」は単独で使われ、「あさ」は複合語「あさ~」で使われていたようです。

朝顔(あさがほ)は 朝露(あさつゆ)負ひて 咲くといへど

夕影(ゆふかげ)にこそ 咲きまさりけれ

[原文]
朝<杲> 朝露負 咲雖云 暮陰社 咲益家礼

参考:万葉集/第十巻 - Wikisource

朝顔は遣唐使が中国から薬として種子を持ち帰ったらしい。中国語では牽牛(けんぎゅう)。牽牛の和名が彦星(ひこぼし)。


「あす」

織女(たなばた/おりひめ)の 今夜逢ひなば 常のごと

明日(あす)を隔てて 年は長けむ(※一年は長い)

[原文]
織女之 今夜相奈婆 如常 明日乎阻而 年者将長

参考:万葉集/第十巻 - Wikisource


「明日」日本語の歌

明日があるさ/坂本九(Cover) 明日への扉 - I WiSH(川嶋あい)
Goose house high_note Music Lounge
公開:2017年7月14日 公開:2015年1月21日

「Morgen」ドイツ語・オランダ語の歌

Morgen
(明日)
Als De Morgen Is Gekomen
(朝になれば)
Ivo Robic(イーヴォ・ロビッチ) Jan Smit
1959年 2006年
ユーゴスラビア「魅惑の大人の歌謡ポップス」- スラブの歌と言語(101) 歌詞:Musixmatch

参考
Category:日本語の歴史
絵文字文化

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする