インドのダンス王 - インド文化圏の音楽(26)

前々回の「オリッシー(Odissi)」と「Kuchipudi」の2種類のダンスに続いて、今回はタミルナドゥ起源の「Bharatanatyam」(バーラタ(Bharata)のダンス(Natyam))

インド伝統舞踊は紀元前2c~2cにまとめられた演劇の理論書「Natya Shastra」を元にした舞踏のことで、8種類以上あるようです。

インドダンスは、手のジェスチャーも特徴的で「Mudra」と呼びますが、その中の「Pataka」は意味が「flag/旗」です。日本語「h」の発音が昔は「p」だったという説に従えば、「Pataka」は「はたか(旗か)」になる。しかも「Mudra」の画像では手のひらに日の丸が描かれているので、まさか「旗」という言葉、日の丸の起源が「Mudra」にあったのかと夢想したくなりますね。空似でしょうけど。

ただ「Anjali(合掌)」ポーズは、インド起源のようです。

Tripataka Anjali(合掌)
Flag in three parts Offering
Hasthamudra3 Hasthamudra8
Aruna at Malayalam Wikipedia [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.5] Aruna at ml.wikipedia [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.5], via Wikimedia Commons
List of mudras (dance)

他にも、「Mudra」は、中国で「印相」と訳されて「悟り」を象徴する手のジェスチャーとして伝わっています。

Natyam | Pranamu Pranavakaram

ダンサー Sandhya Raju
公開 2016年6月3日

古いヒンズー教寺院に彫られたシヴァのダンスポーズの多くは、この「Bharatanatyam」のポーズらしい。

そしてシヴァは、「Nataraja」、意味は「Nata/dance」+「raja/king」

ダンス王(The Lord of Dance)

としても親しまれているようです。

チダンバラムにある「ナタラージャ寺院(Nataraja Temple)」には「Bharatanatyam」の108のポーズの「ダンス王(Nataraja)」が祀られているそうです。

ナタラージャ寺院
Le temple de Shiva Nataraja (Chidambaram, Inde) (14037020332)
Jean-Pierre Dalbéra from Paris,
France [CC BY 2.0],
via Wikimedia Commons

これまでの記事で調べた関連情報を独自にまとめてみると、

バラタ族がパンジャーブ地方に進出してインドが「バーラタ」と呼ばれる。最初「シヴァ」はまだ登場しない。リグ・ベーダで、1度だけ大地を潤すモンスーン(雨)の神「ルドラ」を形容する、「吉祥な(シヴァ)モンスーン(ルドラ)」の形容詞として現れる。その後、形容詞「吉祥な(シヴァ)」が神となり、さらに強化されてルドラと立場を逆転し、そして

ダンス王(The Lord of Dance)

になったのかもしれません。

しかし形容詞が神になるのは本当なのだろうか?

(参考)
ハヌマーンとの出会い - インド文化圏の音楽(5)
インドは「サラスヴァティー」と「ルドラ」の国 ?!- インド文化圏の音楽(7)

Shiva Shambho: Bharatanatyam Dance

ダンサー Swathi Jaisankar, Isha Parupudi, Sophia Salingaros
公開 2017年9月15日


(参考)

「は行」の子音は、奈良時代以前には [p] であったとみられる。すなわち、「はな(花)」は [pana](パナ)のように発音された可能性がある。

日本語#母音・子音 (Wikipedia)

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